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社員の成長を大切にすることが、アンタイプの未来につながる【後編】

社員の成長を大切にすることが、アンタイプの未来につながる【後編】

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  • 2022.09.23

アンタイプは、「信誠知心」という社是や「型にはまらない」というフィロソフィーを掲げ、小規模な会社ありながらも、社員の成長や潤滑なコミュニケーションが取れる環境づくりに取り組んでいる。それまでの過程は、トライアンドエラーの繰り返しだったというが、なぜそこまで積極的に組織づくりを続けるのか。前半に引き続き、アンタイプ代表取締役の山下太郎と共同創業者であるアートディレクターの三木輔にフィロソフィーに込めた思いや、アンタイプが描くこれからのヴィジョンについて訊いた。

想像を超えるけれど本質を見失わない。その要となるフィロソフィー

―フィロソフィーの「型にはまらない」という言葉は、一見、型破りなアプローチのように受け取れますが、文章をじっくり読むと、流行が生み出した型にはまらない、本質的な価値の提供をしようとする意思が伝わってきます。

三木:WEBデザインにも、時代ごとにトレンドや型がありますが、それに囚われて仕事をしていては、その時々を切り取ったものしか生まれません。ぼく自身もつくり手として、どんな時代でも通用する普遍性を追求したい。だからこそ、型にはまらずに本質を学び続け、目的に適した手段を用いるべきだと考えています。

山下:そうすることで最適なアプローチが取れるし、時代に取り残されない持続可能なデザインにすることができます。三木をさすがだなと思うのは、クライアントがやりたいことと、アンタイプらしいことの折り合いをつけながら、マッチングするポイントを見つけ、クライアントの想像を超えるベストなデザインをつねに提示しているところです。それが信頼となり、リピートにもつながっていると思います。

―そんなアンタイプらしさを出せた、近年の事例はありますか?

三木:大手オフィス用品ECサイトの案件ですね。見た目の華やかさにこだわるというよりは、クライアントが考えていることのさらに先まで見据えた内容を提案しました。

山下:初期段階はかなり苦労した案件でしたが、三木が深みのある考えや意見を提案してくれたことによって、クライアントも納得できる落としどころが見つかったのだと思います。

―普段の仕事は、どのように進めているのですか?

三木:資料をガチガチにつくるというよりも、クライアントの意向をしっかりと読み取り、ロジックを伝えながらデザインを提示しています。

山下:それはぼくらのクライアントが、アーティスティックな表現よりも、ロジックを重視する傾向が強いからかもしれません。そのため、しっかりとヒアリングしたうえで、「なぜそうするのか」という筋道が通った伝え方をする必要があります。やはりそこでも対話をすることが重要で、時間をかけて慎重に進めることが多いですね。

―若手社員にも、アンタイプらしいものづくりができるようサポートしているのですか?

三木:はい。最初のうちはどうしても見た目から入ろうとしてしまうから、まずはデザイナー本人にデザインの意図を説明してもらいます。そこで曖昧な部分を指摘しながら、「コンセプトを明確に伝えられるようになったら、もっと良くなるよ」と伝えるようにしています。

山下:ある程度、デザインの意図が説明できるようになったら、早い段階で裁量を持ってもらうようにしています。こちらは指針を示し、方向性がブレたときに軌道修正する役割として働きかけるだけで、あとは社員それぞれに自分らしく働いてもらう。そうしていくことで、社員が責任感を持って仕事に取り組んでくれるし、クオリティーも驚くほど上がります。

社員が定着する会社へ。アンタイプの現在の取り組み

―社員を育てると同時に、会社に定着してもらうことも重要です。現在はどのような取り組みをしていますか?

山下:人事評価制度を整えました。ひとつめは、社員に安心感を持って働いてもらうために、個別面談の時間を月に1回設け、普段感じている思いを経営陣に伝えてもらうこと。ふたつめは、自分がクライアントや会社にどう評価されているか、見える化させることです。

アンタイプでは、個人目標とチーム目標を四半期ごとに設定してもらうようにしていて、それぞれがどれだけ達成できたか、都度評価し、今後どうしていきたいかを話し合いながら決めています。

三木:そういったコミュニケーションとフィードバックがあることで、社員にも自信がついていくし、アンタイプでもっと挑戦していこうと感じてもらえているのだと思います。

―しっかりした指標がほしい人、自分の成長を感じたい人にフィットしそうですね。

三木:わかりやすいレベルアップの方法ですからね。目標を立ててもらうときも、漠然とした目標はNGにしていて、「自分はいま、この能力が足りないから、この技術をこういう方法で学びたい」というように、具体的な目標を設定してもらっています。

山下:社会に出ると、日々の業務に追われて目標を見失いがちですが、明確な目標を立てて仕事することで、会社側も社員自身も、少しずつ成長していることが実感できます。それがキャリア形成にもつながっていくはずだと信じています。

―丁寧なケアをすることで、同じ方向に向かって成長していけるのですね。

山下:そう思います。同時に経営陣もまた、自分たちの考え方をオープンにしながら、ブレないようにリーダーシップを示す必要があります。といっても、うちの社員はあまり感情を表に出さず、内に情熱を秘めている人が多いので、社員側からのフィードバックもほしいところです(笑)。

三木:確かに、もう少しエゴを見せてほしいですね。素直さがいいと思う一方で、意見を聞き入れすぎて無難になってしまっては、型を破ることができないですから。意見を聞きつつも、ときには自分のエゴを出していくデザイナーらしい考え方や発想が、会社にもっと反映されていけばいいなと思います。

―現在の出社とリモートワークの割合はどのようになっていますか?

三木:コロナ禍になる前から、山下から「どこでも仕事ができるようにしよう」と提案があり、リモートワークの準備をしていたので、昨年の緊急事態宣言中はフルリモートで働けていました。皆自分の裁量で、責任感を持って仕事をするので、特に大きな支障はなかったです。その一方で、リアルなコミュニケーションの大切さにも気づかされました。そこで現在は、日を決めて週3日は出社、週2日はリモートワークにしています。

―朝礼も行っているそうですね。

山下:朝礼は3年前くらいから始めていて、コロナ禍のはじめはオンライン上で行っていたけれど、いまは社員みんなが出社したときに、以前のように対面で朝礼しています。すべての仕事がパソコン上で完結してしまうIT業界ですが、オンラインのテキストメッセージでコミュニケーションを済ませるのではなく、人の表情や空気感に触れることが大切だとますます思うようになりましたね。

三木:出社する日はミーティングをして、リモートの日は作業にする。そうしたことでメリハリがつき、効率的に仕事が進みます。気づけば定時で退勤しているのに、業績が上がっているという状態になっていました。

―ベストな状態を求めて、働き方も変化させているのですね。

山下:最近は天気が悪い日はリモートワークにしようかという話しも出ていますし、完全リモートワークで働く地方在住の社員採用も考えています。将来的には週休3日制を取り入れるなど、もっと柔軟な働き方を提示できるようにしていきたいですね。

自社サービスの開発も。長期的な目標を持って取り組む、アンタイプのこれから

―今後に向けて、会社全体でチャレンジしていることはありますか?

山下:いまはクライアントの経済状況に左右されにくい、強い経営基盤をつくるために、自社サービスの新規立ち上げを進めています。

―どのようなサービスでしょうか?

山下:いま取り組んでいるのはBtoBの事業で、福利厚生をサポートするためのWEBサービスです。ほかにも、『てらこやサプリ』という教育系のアプリを社員たちが企画・開発しています。チーム目標として取り組むことで、会社全体のレベルアップを目指しています。

『てらこやサプリ』
『てらこやサプリ』開発画面

―お二人が会社の成長のために取り組んでいることも知りたいです。

三木:ぼくは人材育成が目標です。いままではぼくらが社員のマネジメントをやっていたけれど、今後はマネジメントしてくれる人材を増やしていきたいです。社員自身にも、経験と知見を増やしてもらい、自らコントロールできるように働きかけていきたいですね。

山下:社会に貢献できるようなサービスや事業の目標を立てて、邁進していくこと。ぼくらはアクセルとブレーキのような役割分担なんです。だからこれからも、ぼくが暴走しすぎないように三木にブレーキを踏んでもらって、バランスを保ちながら着実にステップアップしていけたらと思います。

―これから、どんな人と一緒に働きたいですか?

三木:自己成長を望み、深く物事を考える方です。特に自分らしく仕事を進めていきたいという人には、早い段階から積極的に裁量を与えるので、スピード感を持って成長していけると思います。そしてWEBデザインが好きであること。自分が納得するまで、夢中になってやろうとする人に、大きな可能性を感じます。

山下:デザインや技術を突き詰めるスペシャリストだけでなく、コミュニケーションが円滑に取れる、マネジメント力が高い人も必要としています。それぞれの能力の伸びしろを見極めながら、組織としてうまく組み立てていきたいですね。いまは会社の軸を固めていく段階なので、同質性の高い人材を中心に集めていますが、将来的には、より多様性が生まれる場になっていくと思います。

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