
- Yamashita
- 2026.02.02
連載最終回となる第3回では、これまでの知識を実際のWeb制作ワークフローに落とし込む方法をご紹介します。日本語テキスト入り画像の具体的な作成手順から、著作権・商用利用の注意点、そして今後の展望まで、実践的な内容をお届けします。
1. 実践:日本語テキスト入り画像の作成
Web制作で頻出する「日本語テキスト入りのバナー画像」「アイキャッチ画像」の作成を、Gemini 3 Proを使って実践してみましょう。
1-1. なぜGemini 3 Proなのか
第2回で比較した通り、日本語テキストの画像内描画においてGemini 3 Proは他ツールより非常に高い精度を示しています。当社での検証では、「2026年AIトレンド予測」「最新技術を活用した」といった漢字交じりのテキストを、文字化けなく正確に描画できることを確認しました。
一方、ChatGPT(4o Image)で同様のプロンプトを試したところ、漢字の一部が崩れる、画数の多い文字が潰れるといった問題が発生しました。有料プラン(Pro:月額$200)と無料(Gemini)という料金差も考慮すると、当社の検証(2025年末時点)では、日本語テキスト入り画像においてGemini 3 Proは他ツールと比較して非常に高い精度を示しており、第一候補としておすすめできます。
1-2. 実践手順
Step 1:Gemini にアクセス
gemini.google.com にアクセスし、Googleアカウントでログインします。無料プランでも画像生成機能は利用可能です。
Step 2:プロンプトを入力
以下のようなプロンプトで画像生成を依頼します。
【プロンプト例】
ブログのアイキャッチ画像を作成してください。
・テーマ:AI技術の未来
・テキスト:「2026年 AIトレンド完全ガイド」と大きく表示
・スタイル:モダンでクリーンなデザイン、青とグラデーション
・サイズ:横長(16:9)
1分程度で、以下のような画像が生成されます。
Step 3:結果を確認・調整
生成された画像を確認し、必要に応じて追加の指示を出します。「テキストをもう少し大きく」「背景をもっとシンプルに」といった自然言語での修正指示が可能です。

Step 4:ダウンロード・活用
満足のいく画像ができたらダウンロードし、必要に応じてPhotoshopやCanvaで微調整を加えます。AIで生成した画像をベースに、ロゴの配置や細かいレイアウト調整を行うハイブリッド手法が効率的です。
💡 Geminiで生成した画像は、Google スライドやGoogle ドキュメントに直接挿入することも可能です。
1-3. 現実的なワークフロー
現時点でのベストプラクティスとして、以下のワークフローを推奨します。
- 背景・イラスト要素はAI(Gemini 3 Pro、FLUX.2等)で生成
- テキストはCanva、Figma、Photoshopで後から配置
- 最終調整・書き出しをデザインツールで実施
Gemini 3 Proの日本語テキスト精度は高いものの、フォント指定や細かいカーニング調整には対応していません。ブランドガイドラインに厳密に従う必要がある場合は、AIで背景を生成し、テキストは従来通りデザインツールで配置するアプローチが確実です。
2. シーン別活用ガイド
2-1. ブログ・オウンドメディア
アイキャッチ画像やSNSシェア用画像の作成に最適です。
- 推奨ツール: Gemini 3 Pro(日本語テキスト入り)、FLUX.2(フォトリアル)
- ポイント: 記事タイトルをそのまま画像内に入れると、SNSでのクリック率向上が期待できる
- 注意点: サムネイルサイズでも読みやすいフォントサイズを意識
2-2. LP・広告バナー
商品・サービスの訴求に使用するビジュアル制作です。
- 推奨ツール: Adobe Firefly(IP補償重視)、FLUX.2(品質・コスパ重視)
- ポイント: 背景素材をAIで生成し、商品写真や人物は実写を合成
- 注意点: クライアントワークでは著作権リスクを説明し、Fireflyの利用を検討
2-3. ECサイト商品画像
商品の背景変更やバリエーション画像の作成です。
- 推奨ツール: FLUX.2(マルチリファレンスで一貫性維持)
- ポイント: 実商品写真を参照画像として入力し、背景のみ変更
- 注意点: 商品の色味やディテールが変わらないよう注意深く確認
2-4. プレゼン資料・提案書
コンセプトビジュアルやイメージ図の作成です。
- 推奨ツール: Midjourney V7(アート・コンセプト)、Gemini(Google連携)
- ポイント: 「まだ存在しない未来のイメージ」を可視化するのに最適
- 注意点: 社外プレゼンではAI生成であることを明示するのがベター
3. 著作権・商用利用の注意点
画像生成AIを業務で使用する際、著作権と商用利用のルールを正しく理解しておくことが重要です。
3-1. 学習データと著作権リスク
多くの画像生成AIは、インターネット上の画像を学習データとして使用しています。この学習データに著作権で保護された画像が含まれている場合、生成物が「著作権侵害」と判断されるリスクがゼロではありません。
商用利用時の法的リスク低減を重視する場合の有力候補がAdobe Fireflyです。Fireflyは主にAdobe Stockやパブリックドメインなどライセンスクリアな素材を学習に使用しています。エンタープライズ向けプランなどでは、Fireflyを利用した特定ワークフローについてIP補償が提供されています(詳細はAdobeの公式ドキュメントをご確認ください)。
⚠️ Midjourney、Stable Diffusion、FLUX.2、ChatGPT、Geminiは、学習データの詳細が完全には公開されていません。クライアントワークで使用する際は、この点を事前に説明しておくことを推奨します。
3-2. 各ツールの商用利用条件
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ツール |
商用利用 |
注意点 |
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Adobe Firefly |
◎ 法的リスク低減に有力(IP補償あり) |
ベータ版機能は補償対象外の場合あり。詳細は公式参照 |
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Midjourney |
○ 有料プランで可 |
年商$100万超はPro以上必須 |
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Stable Diffusion |
○ 年商$100万未満は無料で可 |
派生モデルはライセンス要確認 |
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FLUX.2 |
○ API版(Pro/Flex/Max)で可 |
Dev版はモデル利用が非商用ライセンス。生成物の扱いも含め商用利用検討時は公式ライセンス文書を必ず確認。クライアントワークでは商用利用可のAPIプランを推奨 |
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Gemini / ChatGPT |
○ 利用規約の範囲内で可 |
最新の利用規約を要確認 |
3-3. 実務上の推奨事項
- クライアントワークでは、AI生成画像の使用について事前に合意を得る
- リスク許容度が低い案件(大企業、官公庁等)ではAdobe Fireflyを検討
- 生成画像は念のため類似画像検索(Google画像検索等)でチェック
- 実在の人物・ブランド・キャラクターを模倣する使い方は避ける
4. 今後の展望
4-1. 2026年以降の予測
画像生成AI市場は、2026年以降もさらなる進化が予想されます。
- 動画生成との統合: 静止画から動画へのシームレスな変換が標準化
- 3D生成の実用化: テキストから3Dモデルを直接生成する技術の成熟
- リアルタイム生成: ユーザー入力に応じて即座に画像を生成・調整
- 著作権問題の法整備: 各国でAI生成物の著作権に関する法整備が進行
4-2. Web制作者に求められるスキル
画像生成AIの普及により、Web制作者に求められるスキルセットも変化しています。
- プロンプトエンジニアリング: 意図した画像を生成するための指示設計能力
- ツール選定能力: 用途に応じて最適なツールを選択する判断力
- 品質判断能力: AI生成物の品質を見極め、適切に調整する目利き力
- 法的リテラシー: 著作権・商用利用ルールに関する正しい理解
重要なのは、AIを「代替」ではなく「拡張」として捉えることです。AIが生成した素材をベースに、人間のクリエイティブな判断で仕上げる「ハイブリッド制作」が、当面の主流となるでしょう。
5. まとめ
全3回にわたる連載で、画像生成AIの基礎知識から実践活用までをお伝えしてきました。最後に、本連載のポイントを振り返ります。
【連載のまとめ】
第1回: 画像生成AI市場は多極化。「万能ツール」を探すより、用途別に最適解を選ぶ時代へ。
第2回: 日本語テキストはGemini、フォトリアリズムはFLUX.2、アートはMidjourney、法的安全性はFirefly。明確な使い分けが重要。
第3回: 実務では「AIで背景生成+デザインツールでテキスト配置」のハイブリッド手法が現実的。著作権リスクはクライアントと事前に共有を。
画像生成AIは、Web制作の可能性を大きく広げるツールです。本連載が、皆様の制作活動の一助となれば幸いです。








