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UCP・A2A・MCP・AP2 | AIエージェント連携プロトコルの全体像

UCP・A2A・MCP・AP2 | AIエージェント連携プロトコルの全体像

  • Yamashita
  • 2026.01.23

AIエージェントが企業システムやサービスと連携するための標準プロトコルが、急速に整備されつつあります。2024年後半から2026年初頭にかけて、AnthropicGoogle、そして業界各社が相次いでオープンプロトコルを発表し、「エージェンティック・コマース」の技術基盤が形成されています。

本記事では、技術者向けに、UCPUniversal Commerce Protocol)、A2AAgent2Agent Protocol)、MCPModel Context Protocol)、AP2Agent Payments Protocol)という4つの主要プロトコルの役割と相互関係を整理し、実装に向けた具体的なアプローチを解説します。

4つのプロトコルの概要

プロトコル

発表元・時期

主な役割

ガバナンス

MCP
Anthropic 202411
LLMとツール・データの連携
Linux Foundation
A2A
Google 20254
エージェント間通信
Linux Foundation
AP2
Google 20259
エージェント決済
オープンソース
UCP
Google 20261
コマース全体の統合
オープンソース

 

MCPModel Context Protocol

MCPは、Anthropic202411月に発表し、202512月にLinux Foundationに移管されたオープンスタンダードです。大規模言語モデル(LLM)が外部ツールやデータソースと統合する際の標準インターフェースを提供します。

MCPの設計思想

MCPは「LLMとツールの接続」に特化しています。従来、LLMがデータベースにアクセスしたり、APIを呼び出したりするには、アプリケーションごとに個別の実装が必要でした。MCPは、この連携を標準化することで、一度MCP対応したツールは、どのMCP対応LLMアプリケーションからも利用可能になります。

主要コンポーネント

MCPサーバー:外部システム(データベース、API、ファイルシステムなど)へのアクセスを提供するコンポーネント。リソースの公開、ツールの提供、プロンプトの管理を行う。

MCPクライアント:LLMアプリケーション側のコンポーネント。MCPサーバーに接続し、リソースの取得やツールの実行を行う。

トランスポート:JSON-RPCベースの通信プロトコル。標準入出力(stdio)、HTTP/SSEWebSocketなどをサポート。

A2AAgent2Agent Protocol

A2Aは、Google20254月に発表し、同年6月にLinux Foundationに寄贈されたオープンプロトコルです。異なるAIエージェント同士が相互運用可能になるための通信標準を提供します。202510月時点で150以上の組織がサポートを表明しています。

MCPA2Aの違い

MCPが「LLMとツール」の接続に焦点を当てているのに対し、A2Aは「エージェントとエージェント」の通信に特化しています。MCPではツールは静的なインターフェースですが、A2Aではエージェントは自律的な意思決定主体として扱われます。公式ドキュメントでは「MCPでツールを装備し、A2Aでエージェント同士が通信する」という使い分けが推奨されています。

主要コンポーネント

Agent Cardエージェントの機能をJSON形式で記述したメタデータ。他のエージェントはこれを参照して、どのエージェントにタスクを委譲するかを判断する。

Taskエージェント間でやり取りされる作業単位。ライフサイクル管理が定義されており、長時間実行されるタスクの状態同期もサポート。

Artifactタスクの成果物。テキスト、画像、ファイルなど様々な形式をサポートし、コンテンツタイプのネゴシエーションが可能。

AP2Agent Payments Protocol

AP2は、Google20259月に60社以上のパートナー企業(MastercardPayPalCoinbaseVisaなど)と共同で発表した、AIエージェント主導の決済を安全に実行するためのプロトコルです。A2AおよびMCPの拡張として設計されています。

AP2が解決する課題

従来の決済システムは「人間が直接、信頼されたWebサイトで購入ボタンをクリックする」という前提で設計されています。AIエージェントが自律的に決済を行う場合、この前提が崩れ、以下の問題が発生します。

認可の証明:ユーザーがエージェントに特定の購入を許可したことを、どう検証するか。

意図の真正性:エージェントのリクエストがユーザーの真の意図を反映しているか、AIの「ハルシネーション」ではないか。

説明責任:不正取引が発生した場合、誰が責任を負うのか。

Verifiable Digital CredentialsVDC

AP2は、W3C Verifiable Credentialsに基づいた3種類のデジタル証明書(Mandate)を使用してこれらの問題を解決します。

Intent Mandateユーザーが不在の状態でエージェントが購入を行う際の条件を定義。価格上限、タイミング、その他の制約を含む。

Cart Mandateユーザーが特定のカート内容(商品、価格)を最終承認した証明。ユーザーの暗号署名により否認不可能な意図の証明となる。

Payment Mandate決済ネットワークと発行会社に共有される証明書。AIエージェントの関与とユーザーの在席/不在席を示すシグナルを含む。

UCPUniversal Commerce Protocol

UCPは、20261月にGoogleShopifyWalmartTargetなどと共同で発表した、エージェンティック・コマースのためのオープンスタンダードです。MCPA2AAP2との互換性を持ち、商品発見から購入、購入後サポートまでのコマース全体を統合します。

UCPの位置づけ

UCPは、MCPA2AAP2を「コマース」という特定のドメインに適用するための上位レイヤーと考えることができます。UCPは既存のプロトコルを置き換えるのではなく、それらと連携しながらコマース特有の要件(カート管理、チェックアウト、注文管理など)を標準化します。

コア機能

Checkoutチェックアウトセッションの管理。カート操作、税計算、割引適用、サブスクリプション設定などをサポート。

Identity LinkingOAuth 2.0を使用したユーザー認可。ロイヤルティプログラムとの連携やパーソナライズされた価格設定を可能にする。

Order ManagementWebhookベースの注文ライフサイクル管理。発送、配達、返品などのイベントを通知。

実装アプローチ

ビジネスプロファイルの公開

UCPでは、マーチャントは/.well-known/ucpエンドポイントにビジネスプロファイルをJSONで公開します。このプロファイルには、サポートする機能(Capabilities)、決済ハンドラー、拡張機能が記述されます。エージェントはこのプロファイルを参照し、マーチャントの機能を自動的に発見・ネゴシエートします。

動的ネゴシエーション

UCPHTTPのコンテンツネゴシエーションに似た仕組みを採用しています。エージェントとマーチャントはそれぞれのプロファイルを交換し、双方がサポートする機能の共通部分を算出します。これにより、異なる機能を持つシステム間でも柔軟に連携が可能です。

トランスポートオプション

UCPREST APIMCPバインディング、A2A3つのトランスポートをサポートしています。既存のシステムアーキテクチャに応じて最適な方式を選択できます。すでにMCPを実装している場合は、MCPバインディングを使用することで比較的容易にUCP対応が可能です。

リソース

UCP公式サイト:https://ucp.dev/
UCP GitHubhttps://github.com/Universal-Commerce-Protocol/ucp
A2A公式サイト:https://a2a-protocol.org/
AP2公式サイト:https://ap2-protocol.org/
MCP公式サイト:https://modelcontextprotocol.io/
Google Developers UCP Guidehttps://developers.google.com/merchant/ucp

まとめ

MCPA2AAP2UCPという4つのプロトコルは、それぞれ異なる役割を持ちながら、相互に補完し合う関係にあります。MCPLLMとツールの接続、A2Aはエージェント間通信、AP2はエージェント決済のセキュリティ、そしてUCPはこれらを統合してコマース全体を標準化します。

これらのプロトコルはすべてオープンソースまたはLinux Foundation傘下で公開されており、特定のベンダーに依存しない設計となっています。エージェンティック・コマースの実装を検討する際は、まず公式ドキュメントとGitHubリポジトリを確認し、自社システムに最適な統合アプローチを検討することをお勧めします。