
- Yamashita
- 2026.01.28
2025年、AIエージェントがビジネスの現場に本格参入し始めています。タスク管理、議事録作成、スケジュール調整——これまでディレクターが担ってきた「管理業務」の多くが、AIによって自動化される時代がすぐそこまで来ています。
では、Webディレクターという職種は消滅するのでしょうか?
私たちの結論は「No」です。ただし、役割は大きく変わります。
消えていく業務、残る業務
まず、AIエージェントに置き換わっていく業務を整理しましょう。
AIが代替する領域:
- 定例ミーティングの議事録作成と要点整理
- タスクの進捗管理と遅延アラート
- クライアントへの定型報告書作成
- 複数ツール間のデータ連携
- スケジュール調整と会議設定
これらは「ルールが明確で、パターン化できる」業務です。AIエージェントの得意分野であり、人間より正確かつ24時間稼働で処理できます。
一方で、以下の業務は人間の領域として残り続けます。
人間に残る領域:
- クライアントの「言語化されていないニーズ」を引き出す対話
- プロジェクト全体の方向性を判断する意思決定
- 予期せぬトラブル発生時の優先順位づけ
- チームメンバーのモチベーション管理
- 複数の利害関係者間の調整と交渉
これらに共通するのは「文脈の理解」と「判断」です。クライアントが本当に求めているものは、往々にして最初の要件定義書には書かれていません。会話の端々から真意を読み取り、プロジェクトの方向を微調整していく——この能力は、現時点のAIには難しい領域です。
新たに求められる「AIオーケストレーション」能力
ここからが本題です。AIエージェント時代のディレクターには、従来とは異なる新しい能力が求められます。
それが「AIオーケストレーション」です。
オーケストラの指揮者が各楽器の特性を理解し、全体として美しい音楽を作り上げるように、これからのディレクターは複数のAIエージェントを適切に編成し、プロジェクト全体を統括する役割を担います。
具体的に何をするのか
- AIエージェントの選定と役割設計
プロジェクトの性質に応じて、どのAIツールを組み合わせるかを判断します。議事録にはどのツールを使うか、タスク管理にはどのシステムが最適か、クライアントとのコミュニケーションにはどの程度AIを介在させるか——これらの設計判断がプロジェクトの効率を大きく左右します。
- AIの出力品質の監督
AIは間違えます。特に、微妙なニュアンスや業界特有の文脈を理解できないケースは少なくありません。AIが作成した報告書やメールをそのまま送るのではなく、クライアントの期待値や過去の経緯を踏まえて適切に編集する。この「品質管理者」としての役割は、むしろ重要性を増します。
- 人間とAIの適切な役割分担
すべてをAIに任せればいいわけではありません。クライアントとの重要な局面では、あえて人間が対応することで信頼関係を構築する。逆に、定型的なやり取りはAIに任せて、人間は付加価値の高い業務に集中する。この切り分けの判断こそ、ディレクターの腕の見せどころになります。
変化に対応するために、今から始められること
では、現役のディレクターは何を準備すべきでしょうか。
1. AIツールを「使う側」から「設計する側」へ
ChatGPTやClaudeを日常業務で使っている方は多いでしょう。しかし、これからは「自分が使う」だけでなく「チームやプロジェクトのためにAIワークフローを設計する」視点が必要です。
まずは自分の業務を棚卸しし、どの部分がAIで自動化できるかを検討してみてください。議事録作成を自動化するだけでも、週に数時間の工数削減になります。その浮いた時間を、より付加価値の高い業務に振り向けられます。
2. プロンプト設計の基礎を身につける
AIエージェントの性能は、指示の出し方で大きく変わります。「いい感じに議事録をまとめて」では期待通りの結果は得られません。
- 出力形式を明確に指定する
- 判断基準を具体的に示す
- 例示を添える
これらのプロンプト設計の基本を理解しておくと、AIの活用幅が格段に広がります。
3. クライアントへの提案力を磨く
最終的に、Web制作会社のディレクターが提供する価値は「クライアントのビジネス課題を解決すること」です。AI時代においても、これは変わりません。
むしろ、AIを活用することで、より深い分析や広範な提案が可能になります。「AIを使ってこんなことができます」ではなく「御社の課題に対して、AIを組み合わせることでこう解決できます」という提案ができるかどうか。ここが、ディレクターとしての差別化ポイントになります。
まとめ:管理者から指揮者へ
AIエージェント時代、Webディレクターの役割は「管理者」から「指揮者」へと変化します。
タスクを管理し、進捗を追い、報告書を作る——これらの業務はAIに任せ、ディレクターは「プロジェクト全体の方向性を示し、人間とAIを適切に編成して、クライアントの成果を最大化する」役割に集中する。
これは脅威ではなく、機会です。定型業務から解放されることで、本来ディレクターがやるべき「考える仕事」に時間を使えるようになるのですから。
変化の波は確実に来ています。今から準備を始めた人と、そうでない人との差は、数年後には大きく開いているでしょう。
この記事は、Web制作の現場でAI活用を推進している株式会社アンタイプが、業界の未来について考察したものです。








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