社員の成長を大切にすることが、アンタイプの未来につながる【前編】

アンタイプの代表取締役として会社の舵を取る山下太郎と、共同創業者であるアートディレクターの三木輔。二人は2007年に会社を設立し、それから14年間、WEB制作会社として着実にキャリアを積み上げ、組織を成長させてきた。

そんなアンタイプは、「信誠知心」という社是や「型にはまらない」というフィロソフィーを掲げ、小規模な会社でありながらも、社員の成長や潤滑なコミュニケーションが取れる環境づくりに取り組んでいる。それまでの過程は、トライアンドエラーの繰り返しだったというが、なぜそこまで積極的に組織づくりを続けるのか。二人に創業のルーツや、現在に至るまでのエピソードを語ってもらうにつれ、アンタイプが描くこれからのヴィジョンが見えてきた。

足りないところを補い合い、クオリティーを高めていく。そこで見えてきた法人化への道

―2007年にアンタイプを創業したお二人。どのような経緯で出会い、会社をつくることにしたのでしょうか?

山下:もともと三木とぼくは、新卒で入った広告代理店で同期だったんです。年齢が近かったし、お互いWEBデザイナーだったこともあり、休憩時間や飲み会などで話す機会が多くて、お互いの好きな音楽について話をするうちに親しくなりました。

代表取締役の山下太郎

三木:ぼくらの世代はグランジやメタルが熱くて、Foo FightersやPearl Jam、Slipknot、Korn、Limp Bizkitなど、主に洋楽の話で盛り上がっていました。最初は仲の良い同僚という関係性でしたね。

取締役 / アートディレクターの三木輔

―そこからどのようにしてビジネスパートナーになっていったのでしょうか?

山下:1年半くらい働いたタイミングで、先にぼくが別の会社に転職したんです。仕事をやめたあとも、お互い頻繁に連絡を取り合っていたら、ある日「案件を手伝ってくれないか」と、三木から連絡がきて、80万円の仕事をポンとくれた。20代前半でその額は大きかったですよ。その後、すぐにフリーランスに転向しました。

三木:いまと違って相場がなかったからね(笑)。一方で、当時はコーダーとデザイナーが分業ではなくて、コーディングもまとめてデザイナーが請負うことが多かったんです。ただ、ぼくの場合はデザインが得意だけどコーディングが苦手でした。「足りないところを補い合えば、もっと潤滑に仕事が回るだろう」と考えて、コーディングが得意な山下に仕事を頼むようになりました。そしたら山下からも仕事の依頼が来るようになって、自然とビジネスパートナーのような存在に変化していったんです。

―そこからなぜ、会社を設立しようと思ったのですか?

三木:お互い別々のクライアントを抱えていましたが、そこで得た仕事は二人のあいだで回し合うことがほとんど。もっと成果物の品質を上げていくためにも、「同じ場所で一緒にやったほうがいい」と思いました。

山下:それに加えて「社員を雇用する」という目的もあって。だからもう、フリーランスは卒業して、会社設立に向けて動いていこうとなりました。

人を雇うことで生まれた新たな課題。試行錯誤のなかから見出した解決方法とは

―この14年間で、会社として大きく変化するような転換期はありましたか?

山下:2009年と2015年にありましたね。会社を設立した当初は営業しなくても仕事がどんどん入ってきました。ですが、2008年に起きたリーマンショックの煽りを受け、年間売り上げの1/3を占めていた大口のクライアントが2009年に倒産してしまったんです。それはつまり、会社の収入が1/3も消えてしまったということ。それでもなんとか社員に給料を払わなければと思い、異業種交流会に参加するなど、新規開拓のために営業するようになりました。

三木:とはいえ、新規営業をしたことで効果があったかというと、そうでもなかったんですよ。

山下:そうなんです。実際にやってみた結果、新規営業に労力を注ぐよりも、既存のクライアントの仕事に力を注ぐことのほうが信用を得られたし、次の仕事にもつなげられました。少しずつ裾野を広げていく方法が、ぼくらには合っていたし、確実にいい結果につなげられると気づいたんです。

三木:それからは、いまある仕事に誠実に取り組み、信頼を積み重ね、質を高めることに集中することで、業績を上げていこうと考えるようになりました。

―2015年にはどのようなことがあったのですか?

山下:当時、社員は5人だったのですが、さらに人員が必要だと考えて、社員を一気に増やすための採用活動を始め、いいと思った人をどんどん入れていった結果、新入社員たちが短期間のうちに何人も辞めていってしまったんです。

―その原因は?

山下:明確な採用基準を持っていなかったからだと思います。そのときにはじめて会社を成長させるためには、人材がすべてだと気づかされました。求職者にも文化の共感と理解をしてもらったうえで入社してもらうことが重要だと考えるようになり、あらためて自分たちの価値観を整理し、アンタイプの考え方を明文化しました。

―そこから社是の「信誠知心」や企業理念、フィロソフィーが生まれたのですね。

山下:創業初期からの社員は、一緒に成長してきたこともあってか、アンタイプが求める美的感覚や品質、クライアントへの対応や仕事の進め方などが、言語化しなくても伝わっていました。しかしいまの会社の規模感で曖昧な基準のまま採用活動をしても、いい人材とは巡り合えない。新しく入ってくる社員のために、会社の思想を言語化し、丁寧に伝えることを基軸に置くようにしました。

三木:とはいえ、最初から上手くいったわけではありません。試行錯誤を繰り返しながら、2017年になってようやくマッチする人材の採用基準が見えてきました。

アンタイプのフィロソフィー

―その基準とはどのようなものでしょうか?

山下:「WEBデザインが好き」というものづくりへの熱意と、自己成長と社会貢献のために誠実に取り組むという社風を理解し、実行に移せるかどうかというところです。

三木:スキルはもちろん大切ですが、ごまかしがなく素直さが伝わる人はアンタイプではうまくいきやすいし、入社後も実力が伸びやすいんですよね。

山下:そして、これは少し感覚的ではありますが、会社のなかでフラットにコミュニケーションが取れるかどうかもひとつの基準です。どんな相手でも分け隔てなく接することができ、はじめて話したときからスッと懐に入れる人。「人間的に合う」という、根っこの部分の相性は、非常に重要だと思います。

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